智恵子抄(注1)を読む。

後輩嬢は語る。

「なんかね、こういう本は良くないと思うんです。なんというか、こう、ほら、これって『マズい』話じゃないですか。こういうのを綺麗ですよう感動ですようって全面に押し出されても。素直に感動できません」


「こんなのは『よつばと!』(注2)と一緒です。出直してきやがれ!」



(注1)『智恵子抄』……作:高村光太郎。精神を患ってしまった愛する妻・智恵子との生活をリリカルに綴った詩集。感動、出来るのか?


(注2)『よつばと!』……メディアワークス刊。作:あずまきよひこ。『あずまんが大王』で大ヒットを飛ばした後の野心作。主人公の「よつば」を中心としたほのぼのコメディ……のはずなのだけれども、主人公が『純真』すぎて、なにやら『マズい』話にしか見えない。道路にチョークで絵を書いて「あはははははは!」と笑いつづける幼児。どうよ。