ここらでひとつ、就職が怖い。

人が一度は考えること、または考えていて欲しいと願うことだったり逆に鬱陶しいから考えなくて欲しいと思ったりまあそのどれかに属するたぐいの疑問として「僕はどうして生きているのであろう」というのがある。
僕は最近ウイザードリィをプレイしたのだがこのゲームのキャラクターは「作るぞ」と思った瞬間に生まれる。作るぞ。ほら生まれた。まあそれでそのキャラクターは強かったり弱かったり戦士だったり君主だったりする(注1)わけなのだが、それだからといってそのキャラクターに固有性があるわけではない。ゲームだしやり直そうと思えばいくらでもできる。だから彼らは考えるのだ。「俺が死んだところで他の誰かが(他のキャラクターが)世界を救うことだろう。一体俺は何のために生きているんだ!?」
プレイヤー:「俺のためだ」
正確に表現するのならばプレイヤーたる「俺」には時間の制限があり、無限のゲームプレイなどは許されない(注2)。結果的に、ゲームキャラクターたる「彼」には生きる意味=固有性が生まれる。「お前の初期ボーナスが18になるまで何時間掛かったと思ってるんだ!」
さて、我々の場合とはいうと判りやすい上位存在としての「親」にプレイヤーがごとき全権を委ねるのは納得できず、神様だって信じられない(仮に信じられたとしても神様が不老不死だったとしたらどうするつもりだ。無限にゲームをプレイする時間があるとしたら……?)
だから我々は煩悶したりしなかったりするのである。「僕はどうして(略)」。
まあ生まれてしまった以上、やはりレベル上げをするしかない──のか? 嫌だ嫌だ。スライムだって恐ろしい。


注1……嘘だ。初期キャラクターで君主は作れない──と思う。もしかしたら作れるのか? 初期状態に前衛全員戦士は──説明書に推奨されている布陣なのだが──馬鹿のすることなのか? 恐ろしい。

注2……社会だったり親だったり自分のプライドだったりとかにだ。特に最後のが恐ろしい。あのひとが恐ろしいと言ったから今日は恐ろしいフェア。