隆慶一郎『かくれさと苦界行』

吉原御免状』の続編。
狂ってる。どこがどう狂っているかというと時代小説に範馬勇次郎が出てきた。老中の家に素手で忍び込む。全員殺しちゃう。拳で。それで老中を片手で掴んで頭蓋骨割るぞって脅す。勇次郎だ勇次郎だどこからみても勇次郎だ。範馬の血を引く男だ。
血と言えば主人公・松永誠一郎(宮本武蔵の弟子で天皇の隠し子。柳生の技の全てを修得済み)とおしゃぶ(予知能力・千里眼・読心能力の使い手)の血を引く娘、おふうがヤバイ。どうも両親の能力を受け継いでいるらしく、ヤバイ。作者のやる気が満ち溢れている。終盤のおふうへのクローズアップのしかたは続編を前提としている……!


「50人の剣客を一人で殺せる男」誠一郎の戦闘能力と「仕掛け罠や敵の謀略等すべてを見抜く超能力を持つ女」おしゃぶの諜報能力を併せ持つということはスタンドアローンで運用が可能ということで、つまりは将軍だって殺せる。その上きっと美少女。作中ではまだ0才児だったからわからないけれど間違いなく美少女。下手をすれば「吉原の惣領が女ではまずい。今日から男として生きよ」とかいって男装しはじめるかもしれない。もしかしたら彼女が真の主人公で隆慶一郎は彼女のスゴエピソードとして両親の話を先に書いたという可能性すらある。
うわあ、大変だ、いったいどんな話になってしまうんだあ!(期待に目を輝かせながら)


そう考えて「続編はなんてタイトルだろう」と探してみたら「全四部作の予定だったんだけれどもそれを書ききる前に作者が亡くなってしまったなり〜」という話だった。


くそう、だから61はデビューには遅すぎると言ったんだ……!