NARUTO
僕はこの漫画のことはあまり好きではないのだけれど、たまに褒めてやらなくてはいけないな、と思うときがある。今回がまさにそれで、褒めようと思う。
まず、チヨ婆は死ぬことが登場したときから読者はわかっていました。理由は語る必要も無いでしょう。老人は死ぬものですし、弟子っぽいキャラ(今回はサクラ)なんていたら死ぬ以外に道はありません。つまり、チヨ婆をどう殺すかが今回のエピソードのキモでした。
サソリさんが毒を使ってきたとき、そしてその解毒剤に数が限りがあると知らされたとき「またか」と思わなかった読者はいないでしょう。

「解毒剤はあとひとつ」
「毒をうけてしまう二人」
「隙を見てチヨ婆がサクラに解毒剤を使う」
「チヨ婆さまー!」

ナルトはこういう期待(≒予想)をあまり外さない作品なので(注)、この時点でかなり流し読みだったのですが、そうこなかった。近いんだけれども、ちょっと外す。これが最近のワンピースイズムよ。

毒を食らうと同時にサクラが致命傷を受けてるあたりがキモ。もう治療医術では治せない。ぴぎゃー。
「じゃあ解毒剤使ってもしょうがないじゃん」
「確かに治療医術だと駄目だけれど転生忍術ならいいもんね」
「なにそれ」
「使うと死んじゃうけど、どんなものにも命を与えられるの。サクラも死なない」
「じゃんけんの後だしはよくないって先生が言ってました」

で、ここで投入される人情爆弾。

「この術を覚えた理由は人形になってしまったお前の両親を助けるためだったなりよー」

おろろーんおろろーん。
一度「転生忍術? は? なにそれ」とさせておいて落とすのが上手い。

ゲーム的視点で語ると「相手が回復魔法使うから一撃死を狙おう」「自分は毒でどうせ死ぬからメガザル使ってもOK」となっており、正しい。その上で「老人は若者よりも寿命が短い」だの「サソリを殺した以上もう生きてもやることがない」だのの基本攻撃。

戦闘シーンでなにがおきてるのかわからなかったけど、やっぱりナルトくんはたまに偉いなあと思いました。


注1 期待通りの作品:『ドラゴンボール』『ブリーチ』 期待を裏切る作品:『ジョジョ』『ハンター』 どうしようとしているのか解らないがとにかく意外性がある:『テニス』『バキ』