暁の四戦士と光の四戦士。うん、バランスが悪い。

やったっ、FF5をクリアしたっ!


「好きなファイナルファンタジーは?」という質問に対し「5」と答えることにためらいはないが罪悪感がある。長らくそんな風に生きてました。なんでか、と問われれば「クリアしてないからだ」と答えましょう。
僕にはひとつの持病があって、それは「ゲームの(特にRPGの)クリア直前になるとやる気がなくなる」というものだ。
十分に過程を楽しんで、とうとうラストダンジョン。多少のオマケ要素を残しつつも基本的にはあとはラスボスをボコるだけ。
その時点で残され、その後二度と開かれることのなかったセーブデータがいくつあることか。そしてそのうちのひとつが「ファイナルファンタジー5」だった。

ネオエクスデスが強い」「ギルガメッシュの死が泣ける」「オメガには二刀流サンダガ乱れうち」「オメガのあかしとしんりゅうのあかしを取って海底のモアイに行くとむらさきまどうしのジョブが取れる」
こういった情報は知っていた。しかし、それらは僕の体験談ではない。僕のFF5は石版を全部集めたところで終わっている。
エンディングに興味がないわけではない。興味はとてもあるからクリアした人に話を聞く。ラスボスとの手に汗握る戦闘の話を聴くのは大好きだ。
しかし、自分でそれをしようとは思わない。


別に難しいのが嫌なのではない。だいたい、RPGなどにおいてラスボスが一番強いなどということはあまりない。そりゃあ、純粋な戦闘能力をみればラスボスが最強だろうけれど、こちらだって最強の装備を揃えているのだ。戦力を相対的に見れば、そう分の悪い勝負ではない。


僕は何故クリア直前になるとやる気がなくなるのか。ひとつには純粋な飽き性というのがあるだろうし、もうひとつはRPGのシステムにあると思う。RPGというのは最初の苦労があとあとまで役に立つゲームだ。
最初でレベル上げをしておけばその後クリアまでそのレベル上げは役に立つ。最初の経験値が無駄になることはなく、後々までレベルが高くて幸せ。しかし、終盤に近づけば近づくほど「後」がなくなる。今のレベル上げは今の自分にしか得にならず、その後の役に立つことがなくなる。
そのご褒美がなくなることが僕のやる気の消失に絡んでいるのかな、僕は考える。


しかしそんなことを考えても僕がゲームをクリアするようになるわけではなく、彼らの体験談が僕の体験談になるわけでもなく、なんとなくの罪悪感は消えなかった。
それで理屈はともかく終わらせよう、と今日僕はFF5をプレイして──クリアした。ラストダンジョン終盤の狂ったようなAB収得率に目を奪われつつ(そして無駄にジョブをマスターしつつ)、ネオエクスデスを撃破。

楽勝だった。
確かに一回レベル上げに戻りはしたものの、さしたることもなくネオエクスデス撃破。そしてエンディングに。


たいした感動もなかった。やはり終盤に一気に収得したアビリティが利いている。「後のないレベル上げ」が嫌いなことを無視して、ラストダンジョンなのにレベル上げをしたからな。「次元の狭間」に来てからの戦闘だけでジョブを1つマスターしたのはやりすぎだったか。赤魔道士弱いのを無理して使って「れんぞくま」まで修得させたものな──って、あ。


ラスボス戦で「れんぞくま」使うの忘れてた。



僕はファイナルファンタジー5が好きだ、ともう罪悪感に襲われることなく言えるだろう。しかし、どうにもやりきれない。