西尾維新『ネコソギラジカル』(下)

伏線は必ず回収するものかといいますとそりゃあ回収するに越したことはないがある場合に於いては回収されなくても良いのではないか。つまり伏線があるだけで嬉しい場合、そりゃあ読者はその回収を想像してわくわくするのですが、たとえそれが回収されなくてもその一回発生したわくわくはなくならないはずで、それまでの八冊かけて醸成されたわくわく分は僕たちは楽しめた訳で、一概に否定するのもどうなのかなあと思います。


じゃあ文句なく面白かったのか楽しかったのか最高だったのかと言われますとそりゃあラスト一巻分ぐらいは憂さを晴らしても良いはずで、本を破りたくなった僕の気持ちも嘘ではないはずで、殺すぞと思っても罪はないはずです。しかしそれでもそれまでの八巻分、僕は西尾先生のハッタリに喜んで楽しんで幸せだったのです。それだけは嘘じゃないと僕は思うのです。


それでも僕の殺意は止まらない。どうして。


評価:B−