もしもブリーチがハンターだったら

もしもブリーチがハンターハンターだったとしたら、同じ雑誌に二つ同じ漫画が載ることになるわけですが、そうではなくてブリーチワールドの登場人物がハンターワールドに放り込まれたら、という仮定の話です。
ハンターワールドは強い能力には強いリスクが存在する、いわば等価交換の(現実と似通った)世界ですから、ブリーチならさらっと流される程度のリスクも重く見積もらなければなりません。この辺はTRPGのキャラメイク・あるいはMMORPGのステータス割り振りなどを参考にするとよいでしょう。
さて本題ですが、最近卍解した斑目一角さん。リスクを真面目に見積もると、彼の卍解は弱すぎる!


彼の卍解は「スロースターター」で「何度か殴り合い」をしなければ真の能力が発揮されません。「スロースターター」というだけならまだしも「何度か殴り合い」、より明確に表現するのなら「何度か殴られなくては」ならない。「何度か殴られ」かつその攻撃から「生存」しなければならないわけです。これほど強烈なリスクがあるでしょうか。ゴンでもナックルでもシュートでも誰でもいい。こいつに現実を教えてやれ、と、私などは思うのです。

ああ休み時間が終わってしまう。続きは帰ってから。
帰ってきた。


では「何度も殴られ」ても構わない、対雑魚戦での運用はいかがでしょうか。いえいえ、それもままなりません。なにしろ相手は雑魚なのですから、そもそも卍解する必要がないでしょう。卍解が必要なぐらい強い敵の攻撃をくらうのは危険・弱い敵には使う必要がない。困りものです。せめて対多数の攻撃ができれば使いようもあるのですが……。


しかし、これはあくまでハンターワールド(あるいは現実世界)においての話です。ブリーチワールド・ソウル・ソサエティに舞台を移してみましょう。すると驚くべき真実の姿が目に入ります。
ブリーチワールドの人間・死神・虚にはある一つの特性があります。たとえ相手が格下であったとしても、決して一撃でとどめを刺さない。なぜそんな特性が備わっているのか、という理由を考察するには若干の生物的知識が必要でしょう。おそらく、彼らは我々よりも攻撃衝動が強い、あるいはその解発の閾値が極端に低く、「普通に攻撃してしまったら種が全滅してしまう」からでしょう。生き物は同種に対して最も強く攻撃衝動を抱く、というローレンツ先生の説も参考になります。また、彼らは例によってその攻撃能力が我々に比べて極端に強いため、それを抑制しなければこれまた絶滅の危機が近づきます。
「弱い攻撃をしている間に力量を測り、負けそうだ、と解ったら逃げてもいいんだよ」ということです。
さて、斑目さんに意識を戻してみましょう。
ハンターワールド(あるいは現実世界)では貧弱にみえた能力ですが──
「殴られれば殴られるほど強くなる能力」「最初は手加減した攻撃をしてしまう習性」
なんという相性の良さでしょう!
「殴られ」なくては強くなれないという能力も、そもそも習性として最初から全力は出せないのですから、大きなデメリットではありません。戦闘の序盤の「あいさつ」で斑目さんの能力を測った気でいる相手に対する心理的・戦術的有利も馬鹿にできないでしょう。なにせ、斑目さんは序盤よりも「絶対に」強くなっているのですから。不意をつき、相手の逃亡を許さず殺すことに特化した能力、といえるでしょう。
文字通り世界を味方にした彼の能力に、我々は溜息をつくほかありません。