手塚治虫『ブッダ』なんちゃら文庫4巻まで

世界は倦み病んでいてこのままではもうだめだ。人類はおしまいだ。ならば私が悟りを開いて衆生を救ってやる、皆を思想によって幸福に導いてやる!──という話なのですが、思想でひとを救うというアプローチはそりゃあ効果が高いでしょうが、抜本的過ぎてアレです。
思想というメカニズムは僕たちの価値基準そのものなので、それを取り替えるということは違う人間になるというのと同じことです。それまでの人生がめためたで救いが無いのなら捨てて取り替えちゃうのもまあ悪くはないかなとも思いますが(実際、『ブッダ』の世界はそれだ。差別はあるしひとは死ぬし病気連射。人類はおしまいだ)、まあたぶん僕たちの人生はもう少し楽しいです。毎週ジャンプは発売されるし大体においてテニスの王子様も載ってる。運がよければハンターハンターだって。
「いやいやその辺の楽しみは残して思想チェンジをですね」とジャンプと聖書の二刀流で攻め寄る人もいるかもしれないが、こちとら見知らぬ思想に全力で倍プッシュしてるわけでそのぐらいでブレーキを踏めるかっつうと踏めるぐらいなら思想チェンジなんかやろうと思いません。
妄信しなきゃそもそも信じる意味がないわけです。
ということで幸せなひとは思想チェンジをする必要が無く、不幸な人は思想チェンジをして幸せになれる。まったくよくできたシステムですが、今の僕らのようなそれなりに幸せでそれなりに不幸な中間層が想定されていないのでぬるいです。ということで宗教帰れ。とか?
 あとシッタールダは中二病


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