はてな×ダイアリー(ハンター×ハンター調で)

俺がまだ幼稚園だなんだのとちんたらした施設に通っていたころ、ある日ダンボールを手に入れた俺は宝箱を作ろうと思った。入れる宝はこれから作る。とにかく俺は宝箱を作った。そしてそのときに出た余材で俺は宝を作った。拳銃の形をしたダンボールやらナイフの形をしたダンボールやら五芒星の形のダンボールやらだ。
すべてがそろい、俺は宝箱にそれらを放り込もうとした際にふと考えた。こいつにも名前が必要だ。こいつというのは宝箱のことだ。まだ幼かった俺は「宝箱」という言葉の持つ圧倒的かつ地味な豪勢さに不満を感じたのだ。なにか良い名前は……思いついた。「はてなボックス」だ。この「はてな」という間抜けな感じと「ボックス」といういかにもボックスした名前がこいつには似合う。そしていざサインペンでその名を書き込まんとしたときに母にこえをかけられた。
「なにしてるの?」と母は聞いた。
はてなボックスという名前を僕はこいつにつけるのですよおかあさん」と僕は答えた。
「変。すっごく変。似合わない。『はてな』は日本語なのに『ボックス』が英語なのがちゃんぽんで不愉快。どうしても英語が使いたいのなら『クエスチョンボックス』にするべき」
そんなことを言われても僕はクエスチョンという言葉を上手く把握していないし、そんなクエスチョンした響きはこいつには似合わない、という旨のアピールをしたが、母には聞き届けられなかった。「英語は英語・日本語は日本語で統一しないとおかしい。あなたがおかしいと思わないのはまだ子供だから。だから言うことを聞け」
僕は泣いていたように思う。百歩譲って万人にとって「はてなボックス」という名前が変だったとしても、それで誰にも迷惑はかからないはずなのに……。
結局その宝箱には「クエスチョンボックス」と刻まれた。
せっかく作った宝箱なのにその後それを使ったり大事にした覚えは無い。


まあ、包装がダンボールで中身もダンボール、構成要素の百パーセントがダンボールだものな──とも思うのだが、僕は今日唐突に怒りを思い出したのだった! ファック! 「はてなダイアリー」なんてチンケな名前が通る世の中になってよかったな! は!