『げんしけん』

許せん。許せん。『げんしけん』が許せん。


春日部さんはまだ許す。春日部さんはまだ許す。彼女は最初からヤンキーだった。だから彼女が現在ヤンキーでもしょうがない。しょうがないから僕は許す。


コーサカも許す。コーサカもやむを得ず許す。ハンサムなオタク男は存在する(=存在しても違和感が無い。その存在を許せる。オタク男はオタク男に優しい。君もそうだろ? なら仲間だ)。揉め事に強かったり彼女がいたりするのが許せなくなりそうでもあるけれど、しょうがない。男のオタクならしょうがない。だから許す。許す。僕は許す。


だが大野さんは許せん。許せん。許せん。まず顔が普通に可愛いのが気に入らない。胸が大きいのも気に入らない。性格も可愛い。『まっとうに』可愛い。許せん。そんな要素があったのならば、オタク以外に生きる道もあっただろうに。しかしそれよりなにより許せないのは、オタクの男と付き合っているところだ。主人公でもないオタク男と付き合っているところなのだ。


許せん。許せん。大野さんが許せん。貴様はオタクの特権を奪うのか。主人公でもハンサムでもないオタク男の矜持すら奪おうというのか。許せん。許せん。大野さんが許せん。許せん。許せん。許せん。


許せん。